CO2モニター製品においてズレが生じる原因はいくつか考えられます。
- 本質的なセンサーの誤差
- 自動校正の問題
- 電源の問題
センサーの誤差については各製品で明示されていますので、ここでは2と3について解説をします。
自動校正の問題
NDIR方式のセンサーには校正が不要な機種と必要な機種があります。校正が不要な機種は「単光源二波長方式(Dual Beam)」という方式のセンサーを用いています。これは参照用の光を用いて測定用の光を補正する方式で、長期間に渡って測定値が安定します。この方式のセンサーは数が少なく、比較表の中では「測定値の安定性」を◎で示しています。
これに対し、多くの製品は「単光源単波長方式(Single Beam)」という方式をとっており、この場合は時間と共に測定値がズレていきます。このズレを補正するのが「校正」作業です。
多くのセンサーには手動で校正するための機能がついています。これは地球上の外気は概ね400ppmに保たれているため、可能な限り人や車といった二酸化炭素発生源の影響を受けない場所でかつ直射日光の当たらない場所にセンサーを置いて校正を行うという方法です。日光はNDIRの赤外線に影響を与える可能性があるためご注意ください。

これに対し、自動校正は「あるタイミングを外気(400ppm)である」と仮定して校正を行う方法です。ABC (Automatic Baseline Calibration)と呼ばれる方法が代表的で、一定期間の測定値のうち最低値を400ppmであるとして補正します。
通常の屋内アプリケーションでは、CO₂のレベルは一週間の間のある時間帯に屋外空気に近い値まで下がります(無人の夜間など)。従って、8日間のCO₂値をサンプリングし、その最小値を400ppmと比較することによって、CO₂センサはそのゼロ点調整が必要かどうかを理解することができます。
http://senseair.jp/knowledge/sensor_technology/senseair_abc_algorithm.html
しかしこの方法では「常にCO2濃度が高い場所」に設置した場合、高い値を誤って400ppmと認識してしまい、その後の測定値が実際よりも低く出るという欠点があります。
空間が常に人やCO₂発生源となる機器に専有されていて、雰囲気中のCO₂が屋外のレベルまで低下する時間帯がない場合、ABCアルゴリズムは正常に動作しません。これは、CO₂濃度を意図的に高めるビニールハウスや、CO₂が常に高いレベルになり得る閉鎖された狭い空間における場合です。
http://senseair.jp/knowledge/sensor_technology/senseair_abc_algorithm.html
また確認はできていないのですがこのABC校正のプロセスが正しく動作しない製品も販売されているようです。
そのため、ほとんどのCO2モニターでは「自動校正をオフにする」機能があるのですがついていない機種も多く販売されています。そこで、購入する際は「自動校正をオフにする機能がある」製品をお勧めします。またズレが発生する場合は自動校正をオフにして手動校正することをお勧めします。
電源の問題
USBなど外部電源の機種では電源の共有電流が小さすぎたり不安定だったりした場合、誤差が大きくなるという報告がいくつかあります。モバイルバッテリーを用いて携帯する場合にも発生しやすくなると予想されます。ズレが発生した場合はより供給電流量の大きい安定した電源に変えて試してみてください。
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